確率密度関数 p(x) を持つ確率変数 X に対して,モーメント母関数 M(θ) は、変数 θ を用いて次式で定義されます:
M(θ)=E[exp(θX)]=∫−∞∞exp(θx)p(x)dx
また,N(μ,σ2) は,平均 μ,分散 σ2 の正規分布を表し,その確率密度関数 pN(x) は次式で定義されます:
pN(x)=2πσ21exp(−2σ2(x−μ)2)
(1) N(μ,σ2) のモーメント母関数を MN(θ) としたとき、次式を導出します:
MN(θ)=exp(μθ+2σ2θ2)
まず、MN(θ) を定義式に従って計算します:
MN(θ)=E[exp(θX)]=∫−∞∞exp(θx)pN(x)dx
ここで、pN(x) を代入します:
MN(θ)=∫−∞∞exp(θx)2πσ21exp(−2σ2(x−μ)2)dx
指数関数の部分をまとめます:
MN(θ)=2πσ21∫−∞∞exp(θx−2σ2(x−μ)2)dx
ここで、θx−2σ2(x−μ)2 を簡略化します。まず、分母を共通化します:
θx−2σ2(x−μ)2=θx−2σ2x2−2μx+μ2=θx−2σ2x2+σ2μx−2σ2μ2
θx と σ2μx をまとめます:
θx+σ2μx=σ2θσ2+μx
したがって、式全体は次のようになります:
exp(θx−2σ2(x−μ)2)=exp(−2σ2x2+σ2θσ2+μx−2σ2μ2)
ここで、補完平方( completing the square)を使います:
−2σ2x2+σ2θσ2+μx=−2σ21(x2−2(θσ2+μ)x)=−2σ21(x−(θσ2+μ))2+2σ2(θσ2+μ)2
したがって、
exp(θx−2σ2(x−μ)2)=exp(−2σ21(x−(θσ2+μ))2+2σ2(θσ2+μ)2−2σ2μ2)
この式を MN(θ) に代入します:
MN(θ)=2πσ21∫−∞∞exp(−2σ21(x−(θσ2+μ))2)exp(2σ2(θσ2+μ)2−2σ2μ2)dx
ここで、定数部分を積分の外に出します:
MN(θ)=exp(2σ2(θσ2+μ)2−2σ2μ2)2πσ21∫−∞∞exp(−2σ21(x−(θσ2+μ))2)dx
最後の積分部分は正規分布の確率密度関数の積分なので、1 になります:
MN(θ)=exp(2σ2(θσ2+μ)2−2σ2μ2)
式を整理します:
MN(θ)=exp(2σ2θ2σ4+2θσ2μ+μ2−2σ2μ2)
μ2 がキャンセルされます:
MN(θ)=exp(2σ2θ2σ4+2θσ2μ)
最後に:
MN(θ)=exp(μθ+2σ2θ2)
これで、N(μ,σ2) のモーメント母関数 MN(θ) が導出されました。